2022/07/06 10:11

私ども(株)野田武一商店は、日用雑貨を個人商店に卸す問屋でした。

創業者である祖父、野田武一の代は荒物問屋、二代目の叔父の代には、荒物に加え日用雑貨問屋になり、三代目の父の代には日用雑貨中心に卸を行っていました。四代目の母の代には線香ろうそくに少しずつ力を入れ始め、そして私の代の今、各メーカーの線香ろうそく卸に加え自社オリジナル線香、ろうそくを製造するようになりました(線香はOEM )。
また障がい福祉事業に参入させてもらい、障がい者さんたちと共にモノづくりを行う日々を送っております。

冒頭に述べた日用雑貨(トイレタリー)の市場規模は2020年度で2兆1297億円と前年度に比べて伸びているといいます。
インバウンドは大幅に減少しましたが、消毒液などの新型コロナウイルス感染予防ニーズの拡大でハンドソープや消毒液などが売れたようです。

今現在我々が身を置いている線香ろうそく業界の市場規模は、約450億円と言われています。(減少傾向)
とてつもなく小さな市場規模に目を疑った方も多いでしょう。
我々は三代目が他界してから方向性を、市場規模の小さなこの線香ろうそく業界へ徐々にシフトしました。

その背景には、20代から学ばせていただいた『ランチェスター戦略』があります。
この『ランチェスター戦略』を簡単に説明しますと、業界のシェア№1が強者であり、それ以外はすべて弱者という考えのもと強者と弱者の戦略の違いを教えたものです。
20代の若者にとって大手の企業の商いは華々しくて、とても魅力的に見え、自分もああなりたいと考えていたものでした。
しかしランチェスター戦略では弱者は強者の戦略を真似ると倒れる、「弱者は小さくてもいいからナンバーワンを目指せ」と言っています。

また、商いにはライフサイクル(寿命)というものがあり、時計の時刻と太陽の動きを使って分かりやすく説明されていました。

【商品のライフサイクル】

「導入期 (日の出商品)」→「成長一期 (午前8時商品)」→「成長二期(午前10時商品)」→「成熟期 (12時商品)」→「飽和期(午後2時商品)」→「衰退期(午後4時商品)」→「消滅期(日没商品)」

【線香ローソク業界に身を置いてみると】

線香ローソクは、竹田先生の言葉を借りると消滅期(日没商品)市場に位置するといわれています。
しかし、消滅期の業界であっても、伝統産業業界に比較的近く、暗闇の中を静かに照らす「月明り」「星明り」の分野に位置するといわれているといわれています。(大きくもならず、細々・・・という感じでしょうか)

弱者である野田武一商店が流行に翻弄される商売ではなく、小さな業界であっても野田武一商店らしさが光る仕事が出来れば!と気づかせていただき、考えあぐね、弱者の戦略を参考にコツコツと積み上げて形になり始めているものが「使用済みろうそくのリサイクル事業」「自社でデザイン制作するオリジナル線香・ろうそく」「障がい者とともに活躍できる環境をつくる」でした。



 ワタシには大学4年と大学1年の息子がいますが、おそらく息子たちも、ランチェスター経営を学ぶ前の、20代の頃の私と同じような思いを抱いていると思います。決してそれは間違ったことではなく大いに共感します。
長男はアメリカで生活を、次男は考古学者になりたいと夢を持ち日々奮闘しています。
理屈で理解することも大事ですが、憧れてる世界に飛び込んで色んな経験をして成長していって欲しいと切に願う毎日です。